伝統・文化
耳柿(みみがき)

明宝寒水地区には、郡上市天然記念物に指定されている「耳柿」といわれる柿の木があります。この柿の実は、ヘタの部分に小さな突起があり、それがあたかも柿の耳に見えることから、耳柿と言われています。この柿の木のある寒水地区では、昔から言い伝えが残っています。
昔、この柿の木がある場所の近くに比丘尼寺があり、近所の人々が集まり、尼僧の読経に耳を傾けていました。ある時、尼僧は見知らぬ男が人々の中にいることに気づきました。声を掛けても耳が不自由らしく、何か言いたそうな目で尼僧を見上げていました。寺から去る男の後を追いましたが、柿の木の所で姿が消えました。「これは柿の木の主が、人の姿を借りて御仏にすがろうとしているのに違いない。」尼僧は耳が聞こえないのは気の毒だと思い、一心不乱に御仏に祈りました。すると、その秋から柿の実に小さな耳が付き、以来、男は寺に現れなくなりました。その後、この柿の木を「耳柿」と呼ぶようになりました。
郡上市指定天然記念物 耳柿
へたの部分に耳のようなものが付いた珍しい山柿。大きくなっても片手に乗る程の小ぶりな柿です。残念ながら渋柿のため食べれません。これにまつわる昔話も伝わってます。
明宝寒水の山奥に原木は残っていますが、かなりの老木。
樹齢は不明ですが、100年以上と見られています。数年前に接ぎ木した若い木に毎年〝耳〟の付いた実が実ります。
現在子供は7本。
◆昭和62年6月16日 明宝の天然記念物に指定
◆平成16年3月1日 町村合併により郡上市の天然記念物となる